日向夏先生が原作、しのとうこ先生がキャラクター原画を担当し、マンガ作画はねこクラゲ先生という3人で1つの作品を作り上げている「薬屋のひとりごと」。
2017年9月25日よりビックガンガンコミックスにて連載されています。
帝国を舞台に、薬学に精通している猫猫が数々のミステリーを解いていく、ミステリー、ファンタジー、そしてラブコメの要素を含むお話です。
今回は話の中で主人公の猫猫がもらう「かんざし」、ラブコメ要素の部分に注目して解説していきます。
個人的には読んでいてもどかしさ、渡した側の不憫さに同情してしまったこの場面。
かんざしの本当の意味とは、猫猫はどう思っていたのか、渡した側の考えとは、徹底解説します!
目次
【薬屋のひとりごと】かんざしの本当の意味とは!
猫猫が意味を理解せずに受け取っていたかんざし、本当はプロポーズや結婚の意味があったようです!
本編の中では「かんざし=結婚」と書かれているわけではありません。
しかし、結婚やプロポーズの意味をにおわせる様な描写が多く書かれているため、1つずつ見ていきましょう。
玉葉妃からの言葉
園遊会へ向かう前、玉葉妃からかんざしを受け取る場面で「変な虫がつかないように」と言われています。
玉葉妃の侍女としての自覚を持つため、そして、周りからも「この侍女は玉葉妃の侍女だ」と分からせるため、そんな意味が込められているでしょう。
引用元:薬屋のひとりごと
この「侍女の自覚」とは何でしょうか。
侍女を辞める場合というのは、おそらく結婚の時ぐらいでしょう。
そう、侍女の自覚とは「変な男についていって、結婚などになり、私の侍女を辞めるなんてことにならないでね?」という意味とも読み取れます。
ここではかんざしの意味を知っているものしか理解できず、猫猫は理解していません。
しかし、「かんざし=結婚」がほのめかされた場面です。
桜花との会話
園遊会の幕裏、かんざしの受け渡しの場面を見て、桜花が猫猫へかんざしの意味を説明します。
要約すると……
- 優秀な人材を勧誘
- 印代わりにかんざしを渡す
- 違う意味もある
そう、1番重要なところは聞けずに会話が終わっているのです。
しかし、桜花の表情がすべてを物語っています。
引用元:「薬屋のひとりごと」
いつもならば恋愛ごとにほとんど興味がない猫猫。
桜花は自分より知識も情報解析にも優れているが恋愛ごとへの関心が薄い猫猫へ、ぜひ食いついてほしいと思ったからか、もったいぶって話したのでしょう。
しかし、当の本人は本当に関心がなく、しかも自分には関係ないとほとんど聞き流しています。
マンガで桜花の表情が見えるからこそ、かんざしは恋愛ごとと結びついていると分かります。
しかし、この場面だけだと「かんざし=結婚」と明確には分かりません。
李白へ送られた木簡
かんざしを使えば後宮から出られると知った猫猫は、かんざしをくれた者の中で1番害のなさそうな李白へ後宮から出たいと木簡を送ります。
現代を生きる私たちからはあまり想像がつきませんが、後宮というのは入ってしまうとほとんど出ることができない、鎖国された空間です。
そのため。後宮から出られると知った猫猫は、「出られる」の本当の意味を知らずに李白へ木簡を出したのです。
当の李白はというと、義理でかんざしを配った相手から木簡が届き、後宮を出たいと書かれていて、驚きを隠せません。
猫猫の話を聞き、お互い利害の一致で一時の間後宮を出ることになるのですが、周りは2人の思惑を知りません。
そう、この「後宮を出る」とは「結婚して後宮を去る」ことを意味しているのです。
引用元:薬屋のひとりごと
猫猫は知らなくても、周りの侍女たちは李白の求婚を猫猫が受けて、後宮を出ると噂が飛びかいます。
壬氏もこの噂によって右往左往したようですが、ここでは割愛します。
里帰り後の壬氏との話
李伯のかんざしを使い、利害の一致により猫猫は花街へ里帰りをします。
後宮へ帰ってくるとうな垂れている壬氏、キラキラした目で見つめてくる侍女たち、諦めろというような高順の顔。
義理でもらった李白のかんざしに自分が負けた、落胆している壬氏に対して、いつもの壬氏とは違うと違和感を覚えながらも意味が分からない猫猫。
引用元:薬屋のひとりごと
李白へ対価として一夜の夢を、と話す猫猫へ驚きが隠せない壬氏。
猫猫としては白鈴との一晩の話しをしていますが、そんな事情を知らない壬氏は猫猫が李白とともに一晩を過ごした、と勘違いするわけです。
壬氏の誤解は玉葉妃によって解かれますが、猫猫は壬氏の落ち込みの理由はあまり分からずこの話は終わっています。
壬氏の不憫さ、何も知らない猫猫にかなり振り回されたストーリーで今回の話は終わっています。
【薬屋のひとりごと】かんざしが登場したシーンと猫猫の解釈
猫猫がもらったかんざしは4個。
ざっくりと意味を見てみると……
- 変な虫がつかないように首飾り(玉葉妃から)
- 謝罪のかんざし(壬氏から)
- 参加証のかんざし(李白から)
- 感謝のかんざし(梨花妃から)
薬屋のひとりごとの中で「かんざし」が登場した園遊会のシーンごとに、その時のかんざしの意味、解釈を合わせて見ていきましょう。
引用元:薬屋のひとりごと
玉葉妃からもらった首飾り
これはかんざしではないので「ちょっと違うんじゃない?」って思う人もいるかもしれません。
しかし、今後の話の展開の中では重要なポイント、そして園遊会が終わってからの会話の中で、「もらったかんざしは4個」とこの首飾りも1個としてカウントしています。
園遊会の前、玉葉妃の身だしなみが整い、侍女たちそれぞれに「変な虫がつかないようにしるしを」といって飾り物を付けていきます。
ある者はかんざし、ある者は耳飾り、髪飾りなど、次女に合わせて玉葉妃がセレクトしたようです。
引用元:薬屋のひとりごと
猫猫がつけてもらったのは首飾り。
花のモチーフが付き、煌びやかながら、華奢な印象も受けるこの首飾りのセンスは、さすが玉葉妃としか言いようがありません。
この首飾りは「変な虫がつかないように」「しるし」という意味。
「変な虫」とは、自分の侍女たちをたぶらかす変な男のことでしょう。
宮中の男性と侍女との恋愛も少なくない中、遊んでいる男性などに捕まらないように、そんな意味が込められているでしょう。
そして「しるし」とは、「この侍女は玉葉妃の侍女だ」と見せつけるためのものでしょう。
寵妃の侍女と分かれば変な男性からのアプローチや遊ばれることはない、「そんなことしようものなら分かっているよな?」という牽制もかけられています。
渡す際にも「いい?あなたは私の侍女なんだからね」と猫猫へ伝えています。
猫猫は言葉の意味に気付いていませんが、玉葉妃は「あなたは私の侍女、男の元へ行かないのよ?」という意味が込められた言葉なのです。
壬氏からもらった男物のかんざし
園遊会の準備ができた玉葉妃のもとを訪れたのは、壬氏。
玉葉妃へのお褒めの言葉はもちろん、侍女たち、特にお気に入りである猫猫へ顔を見せます。
猫猫が普段そばかすの化粧をしている理由を聞き、自身の行いを申し訳ないと思った壬氏。
「申し訳なかった」
謝罪の言葉を口にしながら、猫猫の髪へかんざしを挿し、照れた顔で「やる」と言ってその場を去っていきます。
ちなみに私はこの場面、かなりお気に入り!
いつもは猫猫は強く出ている、上手に手の上で転がしているような壬氏の弱い部分、余裕ぶった表情をなくして照れている表情、ニヤニヤしてしまいます。
引用元:薬屋のひとりごと
かんざしをもらった猫猫は他の侍女に羨ましがられ、玉葉妃には「早速約束を破ったのね」と困り顔されます。
壬氏は謝罪の言葉とともにかんざしを渡していたため、猫猫も意味が分からずそのまま何も言わずに受け取ってしまいます。
もしかしたら壬氏はかんざしを渡すことで自分と一緒になり、後宮から出よう、無理にここへ連れてきて悪かったという意味が込められていたのかもしれません。
ちなみに猫猫は玉葉妃の言葉の意味が分からず、その後聞けずじまいで園遊会の会場へ向かいます。
ここでかんざしの意味を知っていたら壬氏にもらったかんざしは返却、玉葉妃からの1つだったのかもしれませんね。
引用元:薬屋のひとりごと
初めて会った李白からもらったかんざし
寒い中での園遊会の中で、初めて会った李白から急にかんざしをもらいます。
猫猫にとって李白は知らない相手とはいえ、腰にかなりの数のかんざしを持っていることから、皆に配っているものと解釈し、受け取ります。
引用元:薬屋のひとりごと
もちろん李白と会う前にかんざしの意味について桜花と話しています。
「花の園にいる優秀な人材を勧誘。違う意味もある」と話していましたが、奉公が終われば花街に戻ることが決まっている猫猫は聞き流します。
しかし、この李白からのかんざし、本当に参加証のようなものだったのでしょうか。
実はこの園遊会が終わってから、李白からのかんざしは本当に参加証と同じレベルだと分かります。
かんざしを使えば後宮から出られると分かった猫猫は、李白へ木簡を送ります。
李白の返事は「義理だったんだよなぁ。本気にされると困る」と猫猫へ伝えています。
ここから、李白の渡したかんざしはただの義理、本当に参加証と同じようなレベルだったと分かります。
梨花妃からもらったかんざし
李白から参加証のようなかんざしを貰った猫猫。
直後に現れたのは四夫人の1人、群青と水晶の象徴である梨花妃。
梨花妃と玉葉妃は同じ立場、李白などとは比べ物になりません。
玉葉妃からすでに首飾りを貰っている猫猫は、梨花妃に挨拶している隙に髪にかんざしを挿されます。
有無も言わさず立ち去る梨花妃に、他の侍女たちから「玉葉さま拗ねるどころじゃないかも」と心配そうな顔で見つめます。
引用元:薬屋のひとりごと
そんななか、状況をつかめていない猫猫は表情も変えず、何も言葉を発しません。
梨花妃からのかんざし、これは「猫猫は玉葉妃だけのものではない」という牽制のような意味が込められているでしょう。
以前自分を助けた猫猫へのお礼、そして私もあなたのことを大切に思っているという優しさの理由がありそうです。
もちろんその中には、猫猫は玉葉妃だけのものじゃない、私の猫猫でもあるという独占するなアピールも含まれていそうです。
なぜ猫猫はここまでかんざしの理由に鈍感だったのか
薬が関係する事件に関してはかなりの洞察力と推理力が働く猫猫。
しかし、恋愛話になかなか参加しない、あまり興味を持っていない、いやむしろシャットアウトしています。
そのおかげでかんざしの意味を知りそびれていきます。
引用元:薬屋のひとりごと
なぜここまで興味を持たないことができるのでしょうか。
それは猫猫が花街からきているからでしょう
後宮にいる侍女たちは、後宮内での人間関係にとても機敏です。
女性はうわさ話が好き、しかも後宮という封鎖された空間ならば余計にです。
しかし、猫猫は花街からきていることもあり、男女の関係で良い面も悪い面も見ています。
きっと、侍女たちの知らない恋愛のどす黒い部分を知っているので、より恋愛に関して淡泊になっているのでしょう。
園遊会の時も、桜花からかんざしの話を聞きながら「また色恋沙汰か」と、右から左へ聞き流します。
興味のあることへはとことん探求、興味がなければ本当に何も聞いていない、猫猫らしい分かりやすい性格です。
【薬屋のひとりごと】かんざしの意味 まとめ
「かんざしは結婚の意味を持つ」
園遊会の前にも、園遊会中にも、そしてかんざしを使って里帰りをしている時も「かんざし=結婚」とは結び付かなかった猫猫。
周りの侍女、玉葉妃、壬氏などはもちろん知っているため、認識の違いで話がかみ合わない場面が多くありました。
最後は壬氏の誤解を解き、結婚ではないと終わりになるのですが、きっと猫猫を知る人たちの中で相当噂になっていたことでしょう。
そんな恋愛ごとへの興味が薄く、鈍感な猫猫、この後の話はどんな展開になっていくのか楽しみです!