画像引用元:BEASTERS アニメ第5話より
“BEASTERS(ビースターズ)は動物達の関係性を通して人間の本性を描くヒューマンドラマである”
擬人化された獣達が暮らす社会を舞台に描かれる人気漫画BEASTERSですが、2018年のマンガ大賞受賞や2019年のアニメ化で存在を知ったという人も多いのではないでしょうか。
ですが作品は知っていても、
- 動物じゃなくて人間の物語が読みたい
- ズートピアのパクリだから興味がない
といった理由でまだ読んだ事がない人もいらっしゃるのではないかと思います。
まず誤解しがちな点としては、BEASTERSは確かに擬人化した動物しか出てこない漫画ですが、だからこそ人間臭さが強調されていて人の「理性」や「本能」が浮き彫りになった作品です。
そして、動物が活躍するアニメーションとして有名なのはディズニーの「ズートピア」がよく知られていますよね。
ズートピアでは肉食と草食の間でなくなる事のない先入観や差別等の重い題材が扱われていて、一見するとこの2つの作品はとても似ているように見えますが実はそうでもありません。
この記事では、BEASTERSの「最終話までのストーリーの紹介(おおまかな流れの解説)」と「BEASTERSを楽しむためのポイントの解説」をさせていただこうと思います!
2020年10月に完結した本作ですが、この記事を読めばすぐに本屋さんに駆け込みたくなる事請け合いですよ♪
目次
BEASTERSのあらすじ
画像引用元:BEASTERS アニメ第1話より
物語の冒頭、主人公であるハイイロオオカミのレゴシが通うチェリートン学園では草食獣が肉食獣に食い殺される「食殺事件」が起きます。
殺されたのはレゴシが所属する演劇部の部員であるアルパカのテム。
大型肉食獣な上に寡黙で意味深な言動をするレゴシに周囲は疑いの目を向けますが、すぐにその疑念は晴れる事になります。
友の死を悼み、不器用ながらもその遺志を伝えようとするレゴシからは肉食獣としての驕りではなく、むしろ牙を隠して無害に生きたいという心の優しさと自己への劣等感が滲み出ていました。
画像引用元:BEASTERS 1巻 第1話より
テムの死から一週間後、演劇部では役者チームのリーダーであるアカシカのルイによってテムの代役が立てられます。
自身にも周囲にも完璧を求めるルイはリハーサル前夜に代役と一緒に練習すると言い出しますが、夜間の学校への侵入は校則違反。
ルイはそれを分かった上で強行すると言い張り、その見張り役としてレゴシを指名します。
画像引用元:BEASTERS 1巻 第3話より
嫌々ながらも命令に従うレゴシですが、ふいに夜の闇の中に誰か草食動物がいる事に気が付きます。
校内にいる事がバレるわけにはいかないため、
「ここで自分が先に動けば逃げるはず」
と考えて身構えるレゴシ。
しかし、急に反対方向へと駆け出した草食動物を見た瞬間、彼の中の肉食動物としての本能が目覚める事になるのです。
画像引用元:BEASTERS 1巻 第3話
人間の本能を描く!肉食獣と草食獣達をご紹介
画像引用元:BEASTERS アニメ第4話より
BEASTERSは、無害に生きたいと考えるレゴシが草食獣であるドワーフウサギのハルを襲ってしまった事をきっかけに、自分の気持ちが恋なのか食べたいという本能なのかで思い悩む事を主軸に物語は進んでいきます。
それなら単純に肉食動物と草食動物の関係性についての話なのかと言うとそういうわけでもありません。
読んでいる内に気が付きますが、これは動物同士の問題ではなく現実社会における人間の立場の違いや性別による格差等が当てはめられているのです。
それでは次に、BEASTERSに登場する主要キャラクター達を少しだけご紹介していきましょう!
レゴシ
画像引用元:BEASTERS 1巻表紙より
この物語の主人公であるハイイロオオカミのレゴシは、自分がイヌ科最大の大型肉食獣である事に常に劣等感を感じています。
基本的に寡黙で不器用なため誤解されやすいですが、自分を出すことが苦手な繊細で優しい性格の持ち主。
「怖がられても嫌われてもそうやって生きてきた」
画像引用元:BEASTERS 1巻 第1話より
食殺犯の疑いが腫れた際も、周囲からの自分への評価よりも死んだ友の気持ちを優先する等、どこか「自分がハイイロオオカミである以上嫌われても仕方がない」という諦めのような気持ちもあるようです。
ハルを襲った事件をきっかけに、自分の中にある本能やハルへ抱く感情に戸惑いを感じ思い悩んでいくレゴシ。
ハルとルイが恋仲である事を知って一度は気持ちだけ伝えて身を引こうと決意しますが、ハルが犯罪集団であるシシ組に攫われた際には自らが嫌っている肉食獣の力でライオンをなぎ倒し命をかけて彼女を救い出しました。
ハル
画像引用元:BEASTERS 3巻表紙より
ドワーフウサギというウサギの中でも特に小柄な草食獣であるハルは、自分が捕食される側の弱者であるという事をどこか受け入れている節があります。
性格は明るくとてもさっぱりとしていて、身体を重ねている間はこんな自分でも対等に扱われる、と感じてからは様々な動物と関係を持つようになり、校内でもそれが原因で浮いた存在として扱われていました。
画像引用元:BEASTERS 1巻 第4話より
アカシカのルイとは彼を匿った事をきっかけに恋仲になります。
お互いに異種族である事から将来結ばれることはないと理解していて、学生時代だけの恋として終わる事に一抹の寂しさを感じていました。
最初レゴシの事はよく分からない自分に好意的な肉食獣としてしか見ておらず、実はあの晩に自分を襲った肉食獣の正体が彼である事も薄々感づいてはいます。
しかし、徐々に彼に対して惹かれていく自分にも気づいており、レゴシに死の窮地から救い出された事をきっかけにその距離は更に縮まる事となりました。
ルイ
画像引用元:BEASTERS 2巻表紙より
ルイはレゴシが所属する演劇部役者チームでリーダーを務めており、動物達のトップに立つ次期ビースター候補として学園内でも注目される存在です。
財閥の御曹司で気位が高く自他共に甘えを許さないストイックな性格をしていますが、自分が捕食される草食獣である事に常にコンプレックスを抱いています。
画像引用元:BEASTERS 1巻 第2話より
幼い頃は肉食獣のために草食獣の肉が取引される裏市で生き餌として売られており、財閥の跡取りとして引き取られても尚「右足の裏に彫られた消える事のない商品番号」を自分の弱さの象徴として感じているようです。
画像引用元:BEASTERS アニメ第9話より
ハルに対して恋愛感情を抱いていますが将来は財閥の跡取りとして同種の雌と結婚すると決めており、肉食獣でありながらもハルのため自らを顧みないレゴシの事は一目置いています。
ハルのために公に動く決断は出来ませんでしたが、2匹を救うために密かにシシ組のボスを始末し、アニメの最後ではライオン達に自ら身を差し出したシーンを最後に行方不明となりました。
BEASTERSネタバレ!最終話までのストーリーの流れ
さて、ここからはBEASTERSのストーリーをおおまかにご紹介していこうと思います!
最終話までのネタバレも含みますので、先に原作が読みたいという人はすぐにお店にダッシュしてくださいね!
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演劇部編(1~2巻)
画像引用元:BEASTERS 1巻より
チェリートン学園内で、ある日食殺事件が起こるところから物語は始まります。
被害者は主人公のレゴシと同じ演劇部に所属するアルパカのテム。
学園内では肉食獣と草食獣が対立するピリピリとした空気が流れ始め、寡黙で怪しい行動を取るレゴシの事を周囲は疑い始めます。
しかし、全ては友人であるテムの為の行動で、レゴシは彼が密かに想いを寄jmんせていたエルスに彼が残したラブレターを手渡しました。
レゴシの事を疑っていたエルスは周囲に事実を伝えると言い出しますが、彼は自分の事よりもテムの気持ちを大事にしたいとその申し出を断り立ち去ります。
その一週間後、役者であったテムの代役にヤギのゾーイが抜擢されました。
決定したのは役者チームのリーダーであるアカシカのルイ。
彼はリハーサル前夜に校則を破って学園内で稽古をすると言い出し、その見張り役としてレゴシを指名しました。
気が乗らないまま体育館の前で見張りをするレゴシでしたが、ふと、夜の闇の中に草食獣の気配がある事に気が付きます。
急に反対側に逃げ出す姿を見た瞬間レゴシの中に肉食獣としての本能が目覚め、その小さなウサギに襲い掛かりそうになりますが、幸いにもゾーイに声をかけられた事で正気に戻り、その隙を見てウサギは彼の腕から逃げ出しました。
彼に襲われたのはドワーフウサギのハル。
自分が圧倒的弱者である事にコンプレックスを抱き、異性と体を重ねる時だけ対等になれる事に気付いてからは様々な雄達と関係を持ってきました。
学園内でもそれが原因で孤立しており、夜遅くに学園内にいたのもいじめが原因です。
演劇部の用事で園芸部に出向くことになったレゴシは匂いですぐに彼女の事に気が付きますが、自分が襲ったとは言いだせないまま彼女の手伝いをする事になります。
ハルはそのお礼としてレゴシにも体の関係を持つ事を提案しますが、彼女の思いもよらない行動にその場から逃げ出すレゴシ。
しかし、彼はその後自分がハルに対し恋心を抱いているのではないかと悩み始める事になります。
レゴシがハルを襲った晩、体育館で脚を痛めたルイはその翌日以降もいつも通りの態度で練習を続けていました。
劇の本番でも痛みに耐え抜いて見事主役である「死神アドラー」の役を演じ切りますが、その直後に意識を失って舞台から運び出されます。
次の公演でのルイの代役としてはベンガルトラのビルが、その敵役には何故か裏方であるはずのレゴシが指名される事に。
本番の直前、ビルが密かに手に入れたウサギの血を飲んでいた事を知り頭に血が上るレゴシ。
ハルの事が頭によぎり、ビルを否定するために舞台上で本気の殴り合いを始めます。
突然の事態に部員達は慌てだしますが、そこに怪我で動けないはずのルイが乱入。
ルイが、「自分が真のアドラーである」と名乗り主役を交代した事でなんとか舞台は成功を収める事が出来ました。
隕石祭編(3~6巻)
画像引用元:BEASTERS 5巻より
舞台の公演後、「隕石祭」の準備のために会場に出向いたレゴシはそこでハルと再会しました。
交流を重ねる中でレゴシは彼女への恋愛感情を自覚し、ハルは彼に親しみを感じつつも種族としての違いを感じるようになります。
その後、レゴシは隕石祭のお使いとして肉食獣の部員達と共に街に出る事になりますが、そこで彼らは「裏市」に迷い込みます。
草食獣の肉が食べられるチャンスとあって部員達は色めき立ちますが、平和な街の裏で肉食獣が当たり前に裏市を利用しているという事実が受け入れられないレゴシはそこから逃げだしました。
力尽きていたところを医者であるジャイアントパンダのゴウヒンによって保護されたレゴシ。
肉食を犯した患者であると誤解されていた為レゴシは自分の中にあるハルへの想いを伝えますが、その気持ちは狩猟本能が変形したものだと諭されてしまいます。
そして、隕石祭の作業中にルイと親しげに話すハルを目撃してしまい、レゴシは2匹の関係性を理解します。
せめて自分の気持ちだけでも伝えようと告白を決意しますが、その直後にハルは裏市の犯罪組織シシ組によって攫われてしまいました。
実はハルを助けるために動いていたものの、シシ組と同じライオンである市長によって「過去に裏市で売られていた自分の過去」を引き合いに出され、行動を制限されていたルイ。
そのため、レゴシによってハルを助けるよう促されますが聞き入れる事は出来ず、殴り合いの喧嘩の末にレゴシは「ハルは俺がもらう」と宣言し、その場を飛び出していきます。
裏市でゴウヒンと再会したレゴシは彼の協力を得てシシ組のアジトへと辿り着き、間一髪のところでハルを救出、彼女と共にその場を離れました。
しかし、レゴシの噛みつきが甘かった為シシ組のボスは意識を取り戻します。
起き上がったボスはアジトの外を歩くレゴシに銃を向けますが、その背後にはなんと先程動けなかったはずのルイの姿がありました。
ボスに銃口を突き付け、射殺したルイはすぐにシシ組の構成員達によって囲まれますが、彼は高笑いしながらその身をライオン達に差し出し、その後行方不明となります。
アジトを脱出したレゴシとハルは終電を逃し、一晩ラブホテルに宿泊する事になりました。
そこでレゴシはあの晩ハルに襲い掛かった肉食獣が自分である事を打ち明けますが、ハルは実はずっと気が付いていたと彼に語ります。
ハルと恋愛するために男女の関係を持つ事を決意するレゴシですが、彼女が自ら「草食獣の本能」によってレゴシに食べられようとした為、2匹はそこで踏み止まる事に。
そして、ハルが攫われた事件から2か月後、行方不明になっていたはずのルイが学園に姿を現します。
シシ組の構成員と利害が一致したルイはシシ組の新たなボスとして君臨するため、学園やレゴシ達と一線引くことを決意したのです。
構成員達の前でステーキを口にし、ボスの座を得たルイはその後裏市でシシ組の勢力を拡大していく事となります。
食殺事件編(7~11巻)
画像引用元:BEASTERS 11巻より
種族長達によって開かれた評議会では、全ての動物の先導者であるビースターについて議題に取り上げられていました。
チェリートン学園の学園長は「ヒーローは探すものではなく生まれるもの」と主張しますが、「食殺事件の犯人を見つけたものをビースターとする」事が決定されます。
一方レゴシは、学園の警備員であるヘビのロクメに依頼されてテムの食殺犯を探し始めていました。
そんな中、夜道で突然何者かに襲われて自分の力不足を痛感した為、裏市の実力者であるゴウヒンに弟子入りを志願。
食肉に頼らない力を身に付けるための修行に励み、その結果オオカミ最大の武器である牙ではなく四肢を用いた戦い方を身に付けます。
そして演劇部の活動中に部員の腕が千切れる事件が起きますが、それに対してヒグマのリズが不自然に冷静である事に気が付きました。
レゴシはリズを問い詰め、彼は自分がテムを殺した食殺犯である事を自白します。
本能に負けてテムを殺した思い出を美化する為に、「補食こそが種族の壁を壊せる」と主張するリズ。
対してレゴシは「愛こそが種族の壁を壊す」と反論し、2匹は大晦日に決闘する約束を交わします。
決闘前、レゴシは女装して裏市にいるルイの元を訪ね、テムの食殺犯がリズである事、大晦日の決闘に立ち会って欲しい事を伝え立ち去ります。
レゴシの事が気にかかるルイは側近のイブキに組織を抜けたい事を伝えますが、それに反対するイブキは彼に突然襲い掛かり、もう一人の側近のフリーによって射殺されました。
イブキは事前にこうなった場合自分を撃ち殺すよう指示しており、フリーは二度と顔を出さない事を条件にルイを表の世界へと送り出します。
大晦日の決闘では苦戦するレゴシの為、ルイは生餌としての商品番号が刻まれた自分の右足を食べるよう彼を促し、レゴシもそれに応えました。
ルイの脚を食べる事で力を付けたレゴシはリズを打ち倒し、テムの食殺の記憶を美化していたリズもそんな2匹の関係を目の当たりにして敗北を認めます。
決着がついた瞬間2匹は警察に囲まれる事となりますが、レゴシとルイの間には補食関係となっても尚消える事のない強い絆が結ばれていました。
種間関係編(12巻~最終話)
画像引用元:BEASTERS 2巻より
~導入~
ルイの脚を食べた事で前科者となったレゴシは学園を退学する事を決意します。
テムの食殺事件は、ルイが「同意の元自分の脚を食べさせる」という特殊な経緯があった為、表向きの功労者はレゴシではなくルイとして扱われる事に。
ボロアパートに住みながらバイト生活を送るレゴシは草食獣と接する度に禁断症状に苦しむようになりますが、そんな中、彼の元を祖父であるコドモオオトカゲのゴーシャが訪ねます。
一方、壮獣ビースターであるウマのヤフヤはレゴシとルイの「特殊な食肉事例」の報告を受けていました。
若い頃、ゴーシャと共にビースターズを目指していたヤフヤは血縁者であるレゴシに興味を持ち、彼に会食の招待状を送ります。
自分ではなく肉食獣を選んで目の前から消えたゴーシャへの八つ当たりとして、ヤフヤは会食中に態度を豹変。
レゴシに肉食獣として生まれてきた事を詫びるように強制しますが、対するレゴシは自分の牙を全て折って「これであなたを殴る権利がある」とヤフヤ殴り、彼の考えを否定しました。
その後、ゴウヒンに義歯を作ってもらったレゴシは久しぶりにハルと再会しデートに出かける事になりますが、ハルはレゴシに裏市に行きたいと言い出します。
裏市に入るとレゴシの手を引っ張ってウサギ専門店に入ろうとするハル。
レゴシは彼女を止めようとしますが、ハルは構う事なく店内に入りショーケースに並ぶウサギ達の死体と面会します。
死体の前で手を合わせるハルは、「不思議とそんなにショックではない」と語り、こんなに落ち着いていられるのはあなたのおかげだとレゴシに伝えます。
レゴシに誓いのキスをねだるハルでしたが、貯金もなく前科者である自分ではキスをする資格はないと言い出すレゴシ。
「そんなの重くて面倒臭いわ!」とハルは腹を立てますが、「こんな厄介な男と付き合ってあげられるのは私くらい」と心の中で密かに思いながら2匹で店を後にしました。
~対メロン戦~
画像引用元:BEASTERS 21巻より
最悪の初対面を果たしたレゴシとヤフヤの2人でしたが、レゴシへの執着心が消えないヤフヤは彼に象牙密売人の捜査協力を依頼します。
協力すれば食肉の前科を消すという条件を出されたレゴシは潜入調査に同行し、密売人であるメロンと接触。
レゴシは見張りを任されますが、ヒョウとガゼルのハーフである彼に自身もクォーターである事から共感してしまい逃亡に手を貸してしまいました。
一方、大学に通いながら普通の生活を取り戻したルイは、裏市の近くで死んだはずのイブキに似たライオンを目撃して追いかけた事をきっかけに、現在のシシ組がメロンによって支配されている事を知ります。
ライオン達を怯えさせるボスの存在に驚くルイでしたが、彼等の前で見せつけるように肉を食べるメロンの姿を見て彼が草食と肉食のハーフである事を確信しました。
逃亡の際に拳銃で撃たれてしまったレゴシは意識を失っていましたが、夢の中で今は亡き母に後押しをされてメロンと向き合う決意をします。
メロンの扇動により学園や裏市が異様な雰囲気に包まれる中、偶然にもルイと再会する事となるレゴシ。
そこでレゴシはルイにメロンを倒すために、「ビースターズ」として共闘しようと持ち掛けます。
父親が急遽した事で財閥の会長となったルイはテレビでの会見に、ルイの協力を得たレゴシはメロンとの決戦の為に裏市の「縄張り争い」に向かいます。
レゴシがコドモオオトカゲが率いるドク組やキツネのイナリ組と戦う中、ルイはレゴシに食べさせた右脚に痛みを感じていました。
右脚の痛みからレゴシが戦っている事を感じ取りつつ、ルイは記者会見のスピーチの中で会場に集まった肉食獣の記者達に語りかけ始めます。
「裏市で食肉の経験がおありだろう」
「しかしそれは誰も責める事は出来ない。草食獣も肉食獣も自分達はもっと関わり合うべきだ」
放送禁止用語である「裏市」や「食肉」が財閥新社長の口から飛び出した事で会場は騒然とします。
そんなルイの発言により、街中では草食獣と肉食獣による殴り合いの暴動が起きていました。
ヤフヤはその光景を見て自分のやってきた事は無駄だったと言いますが、ゴーシャは「ヤフヤが街を守ってきたからこそ誰も牙を立てていないんだ」と語ります。
突然の停電によって一旦辺りは静寂に包まれますが、再び明かりが灯った時、気付けば争っていたはずの獣達はお互いに手を繋ぎ合っていました。
社員達によって錯乱状態と判断されたルイは控室に閉じ込められますが、シシ組の構成員達によって救出され車で裏市に向かいます。
そこで彼等が目撃したのはメロンによって追いつめられるレゴシと、共に裏市を破壊する草食獣と肉食獣達の姿でした。
ルイは倒れたレゴシを立たせると、「決着をつけよう」とメロンに対して告げます。
時代の変化を目にしたメロンは拳銃を自分の胸に突き付けて自殺を図りますが、現場に駆け付けたゴーシャの活躍により一命を取り止め、刑務所へと収監されました。
事件から2か月後、裏市は正式に取り壊される事となり街は日常を取り戻していました。
レゴシはデートする中でハルに告白されますが、そのプロポーズは受けられないと答え、
「俺はあなたと一生異種族交流したいです」
と返します。
ハルは「それプロポーズじゃん」と返し、しゃがもうとするレゴシに対して、
「触れあいにくいままでいい」
「よじ登ればしゃがむ必要もないから自分の勝ちだ」
と言って抱きつきました。
BEASTERSを楽しむためのポイントとは
画像引用元:BEASTERS アニメ第3話より
冒頭でも少し説明させてもらいましたが、BEASTERSはディズニーのズートピアとはまた切り口の違った物語です。
BEASTERSは、ズートピアでは触れられる事のなかった「肉食獣の食事問題」や、日常生活における「動物としての本能との葛藤」を描いており、動物達を通して人間の表と裏を表現した作品と言えます。
一見すると平和な社会は動物達が理性を身に付けたからこそ成り立っているように見えますが、実際のところ理性というものは本能が満たされて初めて成立するものです。
「肉食獣は草食獣を絶対に食べない」というルールは、人間に置き換えれば「どんな時も男女は平等で対等な関係である」と言っているのと変わりがありません。
現実的に考えれば理想的ではあっても難しい問題で、それを動物の特徴に当てはめて表現しているからこそBEASTERSは魅力的な作品であると言えるでしょう。
それでは最後に、BEASTERSを楽しむためのポイントを2つ程ご紹介していきます!
この記事では伝えきれない魅力がまだまだたくさんある作品なので、気になる方は是非最後まで目を通していってくださいね♪
動物なのにヒューマンドラマ?異種族だからこそ惹かれあうもの
画像引用元:BEASTERS アニメ第8話より
BEASTERSには様々な動物達が登場しますが、物語の中においての一般的な価値観として、
「恋愛や結婚は同種間で行う」
というものがあります。
普通に考えれば、現実の世界でも動物は自分と同じ生物と交尾して繁殖するものなので何もおかしくはありませんが、BEASTERSの動物達は私達人間と同じように笑ったり悲しんだりと感情豊かに行動します。
そして、レゴシがハルに恋愛感情を抱いたことこそが正に「人間らしい」感情の動きと言えるのです!
作者はこの事について、インタビューで次のように語っています。
Q:「BEASTERS」では、ライオンならライオンと、ヒツジならヒツジと同種間で結婚するのが当たり前と言う価値観が一般的で、異種間で結婚するのは珍しい世界です。
オオカミのレゴシが、ウサギのハルに恋愛感情を抱く異種間恋愛は、人間の社会でいうと何になるのでしょうか。A:男と女がもう異種間恋愛ですよね(笑)。私からすると、恋愛って絶対に成立するはずのないことをやっているように思えるので。
Q:「成立するはずのない」というのは?
A:男女ってわかり合えるはずないのに、結局惹かれ合っている。何とかわかり合おうとすればするほどツラいはずなのに。
それでも、もがく姿は輝いているしみんな素敵だと思うんです。それをレゴシとハルで表現できたらいいなって。
食欲も恋愛感情も本能的なものじゃないですか。それを一緒に描いてみたら、なんだかものすごいごった煮の鍋が完成するんじゃない?と思ったんです。
つまり、BEASTERSにおけるレゴシとハルの関係というものは、現実における人間の男女の恋愛関係を表現しているという事なんですね!
「わかり合えないからこそわかり合いたい」
という気持ちは、確かに恋愛における永遠のテーマとも言えるものです。
そして、草食動物だけ、肉食動物だけで考えてもそれぞれ様々な動物が存在します。
同じ括りの動物でも理解出来ない事がたくさんあるというのは、私達人間が生まれや国籍によって習慣や外見が違うのとよく似ていますよね。
違う種族同士が一つの社会で共に生きていく
正にBEASTERSとは、私達の生きる世界の姿を動物に置き換える事で分かりやすく表現したヒューマンドラマだと言えるのです!
作りこまれた世界観!動物達がリアルに生きるための舞台
画像引用元:BEASTERS アニメ第6話より
BEASTERSでは人間の本性を動物に置き換える事で上手く表現していますが、この世界に生きるキャラクター達は「動物本来の本能」もしっかり兼ね備えています。
例えば、どの動物にも2日に1回「生態時間」という動物毎の生態に合わせたリフレッシュタイムのようなものが設けられています。
レゴシなら同種であるオオカミだけが集められた部屋に入り月光を再現したライトを浴びる等、動物の生態に考慮した時間を過ごすことで快適な日常生活が送れるように配慮されているのです。
他にも、「ビーストライク」という動物の本能を発散させるための娯楽施設もあります。
BEASTERSの世界において、社会の中では“人らしい振る舞い”が常識とされているので、公で爪とぎをしたりボールを追いかけたりするような行動は恥ずかしいものとされているようです。
つまりは現実世界で言うなら昼間は真面目に働いて、夜は居酒屋で飲みまくったりカラオケに行ったりしてストレス発散しているようなものですね。
そして、アニメ第1期にも出てきた肉食獣の本能を満たすための場所としては「裏市」という存在があります。画像引用元:BEASTERS アニメ第6話より
BEASTERSの世界では肉食獣が草食獣を食べる事、傷つける事は禁じられていますが、肉を食べたいという肉食獣の本能が消えているわけではありません。
裏市ではそんな肉食獣達の欲望を叶えるために法の抜け穴を突いた草食獣の肉や血が取引されており、中には自ら体の一部を売りに出す草食獣までいるようです。
レゴシはハルを襲ってしまった経験からも肉食に対して嫌悪感、拒否感を抱いていますが、彼の周りにいる肉食獣の中には「肉を食べる事は大人になる事」として前向きに捉えている者もいます。
実際問題、漫画内でも裏市はアンダーグラウンドなイメージではなく明るく賑やかな市場として描かれていて、肉食獣から見れば受け入れて当然の光景なのでしょう。
基本的に肉食獣達は野菜や卵、牛乳等を食べて生活しているので肉食は必ずしも必要なものではありません。
ですが、肉を食べたいという本能を満たし健全な社会生活を送る場所として裏市が機能している様子を見ると、これは現実世界における風俗等に当たる場所と考えられます。
レゴシにとっては草食獣の死体が売り買いされる光景は非常に衝撃的だったようですが、BEASTERSの世界の常識で考えるなら、その反応は子供が大人の裏事情を知ってショックを受けたようなものなのでしょう。
完結した今こそBEASTERSを読もう!
画像引用元:BEASTERS アニメ第7話より
実は言うと私自身も前々からBEASTERSが気になっていて、最近完結したという情報を聞いてから飛びついた口です(笑)
元々動物を題材にした作品が好きだったので興味を持ちましたが、読んでみたらとんでもない!
ただ擬人化した動物達が登場する漫画だと思うなかれ!
登場人物が動物だからこそ分かりやすく、繊細に表現された心理描写や、映画製作を志していた作者による1話毎のメリハリのある展開。
キャラクターが動物である事に拒否感がない方であれば、是非一度読んでみる事をおすすめします!
今回の記事では、
- ルイの恋愛事情
- レゴシを取り巻く友人関係
- 海洋生物達と陸との関わり合い
等々、まだまだご紹介しきれなかった部分がたくさんあります!
2021年にはアニメの第2期が始まりますので、気になる方は今後要チェックの作品ですよ♪