覆面系ノイズ

【覆面系ノイズ】最終回!ココロ隠した片恋メロディのネタバレ感想!

「覆面系ノイズ」は、「悩殺ジャンキー」「恋に無駄口」の作者福山リョウコ先生が書く、2013年から2019年まで「花とゆめ」に掲載されていた作品です。
2017年4月からはアニメ化されて地上波放送され、また、2017年11月には実写映画化されて話題になりました。

約6年間の集大成、最終巻18巻をネタバレ含めて解説していきます。

  • ニノ、ユズ、モモの三角関係はどうなってしまうのか
  • 活動休止だったイノハリはどうなるのか
  • ヤナの恋の行方は

「ココロ隠した片恋メロディ未来奏でる最終巻」
歌い続けて18巻、ついに最後のハーモニーが響き渡る。
歌うこと、曲を作ることでしか自分を出せなかった3人はどうなってしまうのか。

最終巻でどのような展開が待ち受けるのでしょうか。
今までの話の伏線も回収しながら解説していきます。

覆面系ノイズの今までのあらすじ

歌うことが大好きなニノ(有栖川仁乃)は、初恋のモモ(榊桃)と由比ヶ浜で出会った作曲をする少年ユズ(杠花奏)、この大切な2人と予期せぬ急なお別れを経験。
このことをきっかけに感情が高ぶると叫んでしまうため、マスクが手放せなくなってしまいます。

引用元:覆面系ノイズ1巻 表紙

 

「いつの日か歌声を目印にし、ニノを見つけ出す」というモモの言葉を信じて歌い続けたニノは、高校でユズと再会します。
そして、新歓に出演したことをきっかけにユズたちが覆面バンドのイノハリ(in No hurry to shout)のメンバーだと知ってしまいます。
今まで歌っていた深桜(珠久里深桜)が抜けたことから、ニノがボーカルとして歌うことになります。

実はイノハリは、喉の病気で歌うことができないユズがニノの歌声に惚れ、ニノを思って作曲し、有栖川仁乃の名前からボーカルをアリスと名付けて演奏していたのです。

イノハリとして歌う場所を得たニノは、以前のような絶叫は歌っているときだけになり、歌唱力を高めていきます。

そして、実は同じ高校に通うモモは作曲家としてすでに売れっ子状態。
しかし、親の借金返済のためお金のために曲を売っていることに罪悪感を持つモモは、ニノを見付けても避けてしまいます。

そんな時、新人ボーカルオーディションでモモが作曲家として働いていることを知り、オーディションに応募するニノと元イノハリのボーカル深桜。
最終的に深桜が合格、対イノハリを意識したメンバーが猫の覆面をした黒猫(SILENT BLACK KITTY)というバンドを結成。
そのメンバーにモモがいることに気が付き、ニノは複雑な思いになります。

引用元:「覆面系ノイズ」2巻♭007

RH(ロックホライズン)や対バンなどを経験し、確実に有名になっていくイノハリ。
しかし常に順調に進むわけではありません。
ユズの顔ばれやクロ(黒瀬歩)の過去の恋愛事情、ハルヨシ(悠埜佳斗)の深桜への想い、
そして再びニノの前から消えようとするモモ、そんな周りの事情に敏感で鈍感なニノは歌で叫びだします。

最終巻直前で、イノハリはまさかの活動休止に。
父の死を認めないユズの母がついに父の死を自覚、ユズとともに前に進めるようになります。

引用元:「覆面系ノイズ」17巻♭096

そして、モモはニノと深桜のツインボーカルの曲を提案。
ニノは幼いころのようにモモと歌えるという念願が叶うことに心躍ります。
レコーディング後、過去7年分の荷物を下ろして、想いがあふれ出し、気持ちのままニノを抱きしめるモモ

さあ、最終巻どうなるのでしょうか。

覆面系ノイズ最終回ネタバレ!最終巻18巻でみんなはどの未来へ進んでいくのか

さまざまな過去を持った登場人物たち、最終巻でどのような未来へ進んでいくのでしょうか。

ユズの未来への道

ついに父の死を自覚した母と、音楽を隠す必要がない生活が始まります。
最初はお互いに気を遣いギクシャクとした生活でしたが、オペラ歌手の父の歌を聴く母の姿を見て、次第に心開いていきます。

引用元:「覆面系ノイズ」18巻♭099

そして、久しぶりに会うニノに「私の声はユズだけのものなんだから…!」と言われ、2度目のキスをしてしまいます。
これは恋愛感情でもあり、長年思い続けていた、思い焦がれていた「僕の声」に認められた瞬間だからです。

そして活動再開後初のRH、ついにホライズンステージでの演奏。
歌えるようになったユズは歌ではコーラスのみ参加と言っていたが、『ゼロ』の最終小節、ギターではなく念願の歌声でハーモニーを奏でます。
作曲は、本当は自分で歌いたくて作っていた、この無理だと思っていた過去形の言葉がついに現在叶ったのです。
2人で歌って初めて歌が完成するのです。

引用元:「覆面系ノイズ」18巻♭102

歌い終わって2回目の告白をし、振られるユズ。
しかし、「私の声はユズだけのものなんだから…!」という以前の言葉が、恋が叶うよりもうれしいと感じ、吹っ切れた様子です。

その後、ユズは父の母校でもある音大へ、そして父と縁のある学校への留学を検討します。
父への想い、そしてニノへの想いに大きな変化があった最終巻です。

ニノの未来への道

イノハリが活動休止の間に、次なるステージへ高く飛べるために準備していたニノ。

RHでは黒猫のステージへ飛び入り、深桜とツインボーカルで、そしてモモと一緒の舞台で歌います。

その後、久しぶりのイノハリの舞台。
「私は一生ユズの曲をうたい続ける」と、今まで一度も揺らがなかっただひとつの確信を言葉に、ユズの音へプロポーズします。

引用元:「覆面系ノイズ」18巻♭099

地平線の見えないホライズンステージでの演奏が開始。
イノハリ初の1位を獲得した『オセロ』から始まり、
ニノの叫び声でつながる『カナリヤ』、
イノハリの開始を思い出させる『スパイラル』、
地平線を飲み込むような『ノイズ』、
ユズが消えてしまった思い出のある『消失の空』、
ユズのギターをニノのハモリがある『ゼロ』、
ユズがニノと歌うために作った新曲『サイン』、
そして最後の曲は始まりの曲『ハイスクール』。

モモとの再会のためだけに歌っていたニノの声は、すでにモモだけのものではない、イノハリだけのものではない、これから出会うすべてに向かっていきます。

全てを歌い切り、「…モモに…「すき」って言ってくる」と恋より大事な男の子ユズに宣言し、舞台から飛び降りて走り出します。

引用元:「覆面系ノイズ」18巻♭102

モモを連れ去り、扉越しに告白のはずが窓から顔を出されて、直接好きと伝えることに。
幼いころ窓越しから始まった恋は、窓越しに叶うことになるのです。

総合芸術先行の大学に通うことになったニノは一人暮らしを始めます。
少し不満そうなモモを上手に、そして天然を発揮してあしらう姿は相変わらずでしょう。
大学生をしながらイノハリとして活動も続けます。

そして、ユズと初めて出会った由比ヶ浜で、ニノが初めて作曲した曲をユズへプレゼントします。
初めて出会った由比ヶ浜、そして別れを経験した由比ヶ浜。
もう怖いものはない、この先も自分の足で立っていられると確信を持ち、最後はユズと一緒に歌うシーンでお話は締めくくられています

モモの未来への道

黒猫としての活動を続け、着々と有名になっていくモモ。
思い入れは全くなかったバンド活動も、次第に「こいつらと演れば無敵だ」と思えるほどに変化していました。

モモと一緒に歌うことで無敵を手にしていたニノと比べ、モモは8年かけて「黒猫」というモモなりの無敵を手に入れたのです。

イノハリのライブ後、ニノからの告白にキスで応えるモモ
以前の想いがあふれ出して思わず抱き着いてしまった時と比べ、感情は落ち着いて、そしてニノを受け入れているように見えます。

引用元:「覆面系ノイズ」18巻♭103

しかし、少しいじわる気質なのは変わりなく、「顔がぐちゃぐちゃだから整えたら言う」と言っているニノの髪の毛を引っ張り、「早く言え」と催促。
ここでキュンキュンした人は多いでしょう。

昔から変わらない、だけど変わってしまった人たちだからこそ、この窓越しの告白方法、言葉より行動の答え方に落ち着いたのでしょう。

その後、一刻も早く同棲したいモモと、1人で生活できるようになるまで一人暮らしをするというニノ。
軽くニノにあしらわれつつも、モモの我が道を行くマイペースさは変わりません。

そして、ユズと一緒に仕事をしようと誘います。
ユズと最初に合った時、「自分以外が作曲しているとこ初めて見た」と言ってしまったほど、モモの中では衝撃的な出会いをした2人。

引用元:「覆面系ノイズ」1巻004

その「大切な人」を大切にするべく、一緒にいることを選んだのです。
以前のモモならば大切だから距離を取っていたというのに、モモの気持ちの大きな変化がうかがえます。

他のメンバーの未来への道

17巻で嫉妬している杏に思わずキスしてしまったクロ、その後告白。

18巻ではRHの後、杏にあってイノハリの感想を話し合います。
杏の感想は熱がこもりすぎて、クロは思わずふき出してしまいます。

杏から告白の返事、「好き」という言葉をもらい、スティックを渡すクロ。
少し間が開き、ここでようやくクロはイノハリのハッターだと気づきます。

引用元:「覆面系ノイズ」18巻♭103

最終話では2人でデートして、赤ちゃんの誕生日プレゼントを選びに行ったようです。
家に行ったりと仲良くしているようです。

ハルヨシは相変わらず深桜の尻に敷かれています。
しかし人ごみの中でも素直な深桜を見られるようになっている当たり、深桜ツンデレのデレの部分が増えていることが分かります。

引用元:「覆面系ノイズ」18巻♭104

活動休止していたイノハリは……

ユズが宣言して活動休止になったイノハリは、ユズの帰国により活動再開します。

活動再開の最初がRH、しかも最大のホライズンステージという素晴らしい始動の場です。
地平線も見えないくらい多くの人にあふれている中、イノハリはRHで成功をおさめます。

観客を沸かせ、泣かせ、開始早々ヤナを泣かせ、途中ではハルヨシも涙を浮かべる場面も。
活動再開の嬉しさ、イノハリがイノハリでいることの喜び、ユズが歌うことができた感動、多くの意味を込めた涙でしょう。
見ている人を休ませることなく、最初からぶっ飛ばす、イノハリらしさも健在です。

引用元:「覆面系ノイズ」18巻♭

RH後も、黒猫と合同主催フェス「覆面祭(仮)」のミーティングが開かれています。
両グループともに順調に活動を続けているようです。

ユズの留学の話も出ましたが、「イノハリは勿論やめない」と宣言しています。

ユズの曲に恋しているニノ、ニノの声に恋しているユズは変わらずに一緒に歌っていくのでしょう。
今後もイノハリの活動はずっと続いて行くのが想像つきます。

ついに念願の成就⁉ヤナの恋の行方

さりげなく、でもずっと想いを伝えるチャンスを逃しまくっていたヤナ(梁井壬散)、そのお相手の月果(久瀬月果)。
なぜかタイミングが悪いことが多かったのは、不思議でたまりません。

17巻の最初に、月果とモモとの会話の中で婚約した話が出ます。
モモは相手が気になったようですが、何も突っ込まなかったようです。
と言うよりも、突っ込む前に月果が家を出たから突っ込むことができなかった、というのが正直なところでしょう。

そして18巻の最初では、ヤナと月果の結婚パーティーが開催されています。
そう、17巻で月果の話していた婚約者はヤナだったのです。

RH後、クロと杏が赤ちゃんの誕生日プレゼントを購入しに行っていました。
その後、深桜とハルヨシのイチャイチャを眺めるヤナが抱いているのは、なんと2人の子供。
クロたちは月果とヤナの子供へのプレゼントを選ぶ予定なことが分かります。

しかも、斜め掛けの抱っこ紐を使用しているということは、生後間もない、まだ本当に小さな赤ちゃんなのでしょう。

引用元:「覆面系ノイズ」18巻♭104

覆面系ノイズファンとしては、ヤナと月果の付き合うようになったタイミング、プロポーズ、新婚生活、そして出産のときなど、別冊で取り上げてほしいほどです。

大学のゼミで知り合った2人が、仕事仲間であり商売敵になり、そして家族になる。
この2人の関係の変化も大きく、ユズ、ニノ、モモにも負けていないほどでしょう。

最終巻から読み取れる「覆面系ノイズ」の題名の由来

この漫画の題名、「覆面系ノイズ」
どのような意味が込められているのでしょうか。

ここからは解説ではなく考察になるため、いろいろな考え方があると思って読んでいただければと思います。

まず「覆面系」は、イノハリ、黒猫ともに覆面バンドとして活動していたからでしょう。
しかし、理由はもっと深いところにあると思います。

イノハリは顔ばれがないように、黒猫はイノハリに対抗して覆面にしたように思われています。
しかし、本当の理由はキーワードとして何度も出てくる「僕たちは本当の心を隠している」という言葉。
本心を隠し、本心ではない言葉で着飾ってしまう登場人物たち。

言いたくても言えない、心の内側に隠して違う言葉を紡いでしまう、そのもどかしい心を表現しているのが覆面なのです。
黒猫はイノハリに対抗して覆面にしているようですが、モモも深桜も本心を隠した行動が多いため「覆面」で合っているでしょう。
北条さんに関しては少し系統が違いますが、もしかしたら何か隠していたのかもしれません。

そう思って北条さんの行動を読み返すと、ただの超明るいキャラではなくなるはずです。

そして、「ノイズ」
これはイノハリの曲としても登場します。

本来ノイズとは、耳障りな音、騒音、雑音という意味です。

最初は心の不協和音を奏でていた登場人物たち、しかし歌、音楽を通じて本当の心を見せていきます。
その情景を音と掛け合わせて、ノイズ、きれいな和音ではなくチグハグな状態という意味ではないでしょうか。

最終巻のRHで歌っている最中、「復活の狼煙と予想外の可能性と観客の怒号が混ざり合う」、この状態にニノは「なんて心地よいノイズ」と喜びを表しています。
ノイズという言葉自体はネガティブなイメージが強いですが、不協和音が悪いわけではない、全てひっくるめて「心地よい」と思ったのです。

最後のユズとニノの関係性もそうでしょう。
ユズはニノに恋心がなくなったようには見えません。
しかし、本心を隠しながら友人として抱きしめる、本心を隠したまま前を向いて歩いていく、笑顔で前に進んでいくのです。

最後まで本心は隠したまま、でも、最初とは違って笑顔で前へ進んでいきます。
ただ音楽だから「ノイズ」というわけではないのです。

覆面系ノイズ最終巻を読み終えての感想

活動再開後のイノハリのRH、今までの曲を1つずつ感情がこもって歌っていて……
何度読んでも涙が出てしまいます。

音楽の漫画の難しいところは、音を伝えることができないところ。
ですが、「覆面系ノイズ」は音が伝わる漫画です。
音楽の楽しさ、複雑さ、ライブの臨場感、そして歌による感情の起伏が伝わりすぎて、胸が締め付けられるほどです。

作者福山リョウコ先生も最終巻の締めでこのように書き綴っています。

「この作品に関してはかけていた想いが大きすぎて正直まだ心がまとまっていません。」

引用元:「覆面系ノイズ」18巻

音楽漫画の中で、いいえ、漫画全般の中で自信を持っておすすめできる漫画として「覆面系ノイズ」は外すことができません。

音楽が好きな人、ライブが好きな人、そして本心を隠して生活している人、ぜひ読んでみてください。